- 学習法
小学生に伝えたい環境問題の基本と子どもたちにできることを紹介

小学生のお子さまに正しく環境問題について伝えたいと考えている保護者のかたは多いのではないでしょうか。近年、環境問題は社会的な注目度が高く、小学校の学習指導要領にも「環境教育」が組み込まれています。
この記事では、いま起こっている主な環境問題について詳しく解説するほか、環境問題に対して小学生でも取り組める身近な実践例を紹介します。環境問題という大きなテーマを理解する第一歩として、お子さまができることをいっしょに考えてみましょう。
環境問題とは?
環境問題とは、地球上の生き物や自然に対して、マイナスの影響を及ぼす地球環境の変動のことです。代表的な例としては、地球温暖化による気温上昇があります。気候変動による生態系への影響のほか、海面水位が上昇して陸地が減少することで、食料や飲料水、安全に暮らせる土地の確保が難しくなるなど、人々の生活にも深刻な影響を及ぼします。
環境問題は、人間が「ものを作る」「使う」「捨てる」といった活動によって引き起こされており、解決のためには世界全体での対策が欠かせません。
学習指導要領にもある「環境教育」
学校教育の指針である学習指導要領には、「環境教育」が組み込まれています。環境教育の目的は、環境問題への理解を深め、環境を守るための行動力や判断力を養うことで、持続可能な社会づくりに主体的に参加できる態度を育むことです。
小学校では、社会科の授業でごみ処理問題や資源の有効活用などを学ぶほか、理科、家庭科、体育、道徳などさまざまな教科を通じて、環境に関する学びが行われています。環境問題が世界的に深刻化する中で、このような教育の重要性は高まっているといえるでしょう。
「進研ゼミ小学講座」では、教科の枠を超えて知的好奇心を刺激するコンテンツを提供しています。会員向けの特設ウェブサイト「未来をつくるSDGsナゾ解き」では、雨不足に悩む島で、島を救う「命のたまご」を見つけるべく、村々を訪れ村人の課題を解決するためのナゾ解きクエストに挑戦。村人の抱える課題はSDGsの17の目標に関連したものになっており、ナゾ解きを通してSDGs(持続可能な開発目標)について楽しく学びながら、未来の世界に目を向けて考えることができます。

いま起こっている環境問題は?
環境問題は、人がものを作ったり、使ったり、捨てたりする活動によって引き起こされています。ここでは、現在進行している主な環境問題について、原因となる人の活動や環境の変化、その影響を解説します。
<いま起こっている主な環境問題>
- 地球温暖化
- 砂漠化
- 海洋汚染
- 森林破壊
地球温暖化
地球温暖化とは、地球の平均気温が上昇して、さまざまな悪影響を及ぼす現象です。IPCC(気候変動に関する政府間パネル)によると、何も対策をしなければ2100年には、工業化前(1850~1900年)と比較して最大5.7℃上昇すると予測されています。
■地球温暖化の原因・結果
分析の観点 | 原因・結果 |
---|---|
原因となる人の活動例 | ・産業の発展のため石油や石炭などの化石燃料を燃やして二酸化炭素を発生させる ・自動車等の利用により二酸化炭素を発生させる |
地球環境の変動 | 温室効果ガスの一種である二酸化炭素の大量発生により、温室効果が高まったことで、大気を温める効果も強くなって、地上の気温が上昇 |
マイナスの影響 | ・氷河の融解などによる海面上昇で陸地が減少 ・台風や豪雨、洪水といった災害の頻発 ・猛暑や干ばつによる農作物の収穫量の減少 ・生態系の破壊や生物多様性の減少 |
砂漠化
砂漠化とは、植物が育っていた緑の土地が、植物の生育が難しい土地へと変わってしまう現象です。世界各地で砂漠化が進行しています。
■砂漠化の原因・結果
分析の観点 | 原因・結果 |
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原因となる人の活動例 | ・家畜の飼いすぎで動物の餌となる植物が少なくなる ・過度な森林伐採や農地開発で森林を減らす ・化石燃料を燃やして二酸化炭素を発生させ、地球温暖化を進める |
地球環境の変動 | 温暖化による気候変動で、雨が降らず干ばつが起こり、大地がカラカラに乾いている |
マイナスの影響 | ・農作物の生産減少による食糧不足 ・植物や動物の生息地がなくなり、生物の多様性が失われる ・水質の悪化による水不足 ・住める土地に人口が集中することで難民が増加 |
海洋汚染
海洋汚染とは、海がごみや化学物質などで汚れてしまうことです。
■海洋汚染の原因・結果
分析の観点 | 原因・結果 |
---|---|
原因となる人の活動例 | ・ごみのポイ捨てや漁具の海洋放棄などによる海洋プラスチックごみ ・工場の排水や家庭の生活排水 ・船舶の事故などによる石油の流出 |
地球環境の変動 | プラスチックごみや排水で世界の海洋が汚染されている |
マイナスの影響 | ・自然分解されないプラスチックごみが海洋生物の誤食によって体内に取り込まれ、海の生態系を破壊 ・プラスチックごみを食べた魚などを食べることによる人体への影響の懸念 ・排水に含まれる有害成分により水生生物に悪影響を及ぼし、生態系を破壊 ・排水が農業用水などに使用され農作物や人体に悪影響 |
森林破壊
森林破壊とは、森林の伐採や焼失が自然回復のスピードを超えて進み、世界の森林面積が減少している状態を指します。
■森林破壊の原因・結果
分析の観点 | 原因・結果 |
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原因となる人の活動例 | ・森林を伐採して農地や放牧地として開拓 ・燃料や材料として木材を利用するために森林を伐採 ・ものの製造過程などで二酸化炭素を発生させ、地球温暖化を進める |
地球環境の変動 | 伐採や温暖化に伴う乾燥で自然発火による森林火災が発生することで、森林面積が減少している |
マイナスの影響 | ・森林の大気の浄化作用の低下による大気汚染が進行 ・動植物の生息地が少なくなり、生物の多様性が失われる ・森林の雨を蓄える機能が弱くなり、洪水や土砂崩れのリスクが増加 |
環境問題に対して小学生ができること
環境問題ときくと大きなテーマすぎて、自分ごととして捉えることが難しいかもしれません。まずは身近なことから、地球への環境負荷を減らす活動に取り組みましょう。地球全体から見れば小さな行動でも、多くの人が取り組むことで大きな力になります。ここでは、小学生が実践できる身近な活動を紹介します。
<環境問題に対して小学生ができること>
- 給食を残さず食べる
- シャワーや水道の水を出しっぱなしにしない
- 使っていない部屋の電気を消す
- 物を大切にして、使えるものは再利用する
給食を残さず食べる
給食を残さず食べることで、食べられる食品を捨ててしまう「フードロス」を減らすことができます。残してしまった給食はごみとして処分され、多くの場合は焼却されます。その際に発生する二酸化炭素などの温室効果ガスは、地球温暖化の原因となるものです。給食やご家庭での食事の際は、最初から食べられる量をよそって、食品を食べ残さないようにすることで、ごみを減らせます。
ただし、アレルギーをおもちのお子さまは、該当の食材を口にしないように十分ご注意ください。また体調がすぐれないときなどは無理せず、できる範囲で取り組んでみましょう。
シャワーや水道の水を出しっぱなしにしない
歯磨きのときにコップを使う、お風呂で体を洗っているときはシャワーを出しっぱなしにしないといった工夫で、節水できます。水道水をきれいにするための浄水や下水処理には多くの電気が必要です。節水は電気使用量の削減にもつながり、環境への負担を減らすことにつながります。
使っていない部屋の電気を消す
使っていない部屋や教室などの電気をこまめに消すと、節電につながります。電気の使用量を減らすことで、二酸化炭素の排出量を減らすことができ、地球温暖化防止につながります。
物を大切にして、使えるものは再利用する
文房具やノートなど身近なものにも、木材や鉱物といった地球の資源が使われています。「最後まで使い切る」「再利用する」「リサイクルに出す」などの「4R」の取り組みでごみを減らす工夫をすることで、資源を大切にでき、環境保全に貢献できます。
環境問題を知る第一歩は「身近なできること」から
小学生にとって、地球規模の環境問題の全体像を理解するのは簡単ではありません。しかし、身近な暮らしの中にある資源やエネルギーの大切さに気づき、自分にできることを考え、取り組めば、少しずつ理解が深まるでしょう。
例えば、電気や水、食べ物、文房具など、普段当たり前に使っているものも、地球の限られた資源からできています。そうした身近なつながりを意識し、小さな行動を積み重ねることが、環境問題を学ぶ第一歩となります。
「進研ゼミ小学講座」では、算数や国語といった教科の枠を超え、環境問題やSDGsへの興味を広げるコンテンツを提供しています。特設サイトの「未来をつくるSDGsナゾ解き」では、ゲーム感覚で課題を解決しながら環境問題を学ぶことができます。

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